電気自動車崇拝は市場に悪影響を与える?〜Bosch社への反論
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電気自動車崇拝は市場に悪影響を与える?〜Bosch社への反論

電気自動車関ではネット、リアルともに公私に渡って情報収集には余念のない当方だが、最近ちょっと興味深い記事を読んだ:

以下、一部引用させて頂く:

世界で最大の自動車製造下請け会社Bosch(ボッシュ)社は、浮き足立った電気自動車崇拝傾向に批判の目を向けており、こうした風潮が市場に悪影響を与えていると同社車両課の代表者ベルント・ボール氏は述べている。

つまり小型のパイロットプロジェクトは基本的に役立つものであるが、2010年の時点で消費者が購入でき、現在の車両に匹敵する機能を満たすような電気自動車があるという印象を与えるのは良くないとしている。同氏は、2010年ではまだ、電力だけで駆動する自動車が乗り回されることはないであろうとし、電気自動車のシリーズは、小規模なら2015年までに期待できるであろうが、税金による国からの援助、あるいは産業界からの補助金はないため、安価に提供することは無理であるとしている。

なるほど、ある意味でボッシュ社の主張にも同意できない訳でも無い。

現状の電気自動車のテクノロジーと市場動向、充電インフラの整備状況では、確かにガソリン車またはディーゼル車と完全に同等な動力性能を持つ電気自動車を同程度の価格帯で量産するまでに至っていないのは事実だろう。

しかし、ここで忘れてはいけない事実に留意しておくべきだ。

ボッシュ社の現在の自動車関連事業ポートフォリオを同社ホームページで見てみると、ディーゼルエンジン用
燃料噴射システム、ガソリンエンジン用燃料噴射システム、ブレーキシステム、電子制御ユニット(ECU)などの主力製品などの製品群から構成されていることがわかる。

これが電気自動車の市場成長により何を意味するかは明らかだ。

要するに、電気自動車のパワートレイン(モータ、インバータ、リチウムイオン二次電池など)に絡む製品やソリューションをまだ持たない(と思われる)ボッシュ社は、電気自動車の市場が成長すると自社の売上げや利益の減少という憂き目に遭いそうな状況にあるということだ。

したがって、ハイブリッド車などガソリン車かディーゼル車のエンジンに絡むビジネスが残っているうちに、来るべき電気自動車時代に生き残るための製品や事業にシフトしなければならないということを考えているはずだ。

そして、それまでの時間を稼ぐ必要があるために、電気自動車はまだ実用化されていない、普通の人には買うことができない、というようなマーケティング戦略上のけん制を行っているように俺には見える。

そもそも、欧州(EU)では近い将来(2015年〜)厳格な排ガス規制が適用されることが決まっており、その基準を満たせない自動車メーカーには非常に高額な罰金が科せられることになっている。

これに向けて欧州の自動車メーカーはもとより、日本でも三菱自動車や富士重工が電気自動車の市場化を今年から本格化する見込みであり、つい今朝方にも三菱が電気自動車を仏・プジョー・シトロエングループにOEM提供の検討というかなり大きなニュースが飛び込んできたばかりだ。

ボッシュが焦って牽制球を投げるのも無理はないが、電気自動車の市場は三度目の正直だからというわけでもなく、今回こそはマジでテイクオフすると当方は見ている。


確かに、今年日本市場に投入される初期のEVのモデルでは価格も一般的なガソリン車の倍くらいになるだろうし、一充電走行距離もガソリン車に見劣りするだろう。 

しかし、地球温暖化防止の切り札であり先進各国の成熟した自動車業界・市場を活性化する確率が最も高いのは、ハイブリッド車や電気自動車になると個人的には考える。

なお、以下のような技術的な問題についてもここで反論しておきたい:

最も問題となっているのは、蓄電方法、あるいは供給方法である。現在の技術では充填するまでに必要な充電時間は8時間と言われており、たとえば遠距離から通う従業員を抱える企業の駐車場で、一斉に充電が行われてしまえば、駐車場が込み合うどころか、ショートを起こしてしまうのが関の山だ。差込口からの充電が無理であるなら、どのような形でエネルギーの補充をするべきであるのか、その際の料金支払い方法はどうするのかなど、まだ手探りの段階でしかない。

確かに、現時点では充電インフラが整備途上にあることは指摘の通りである。

しかしながら、充電時間については、例えば東芝が開発した新しいリチウムイオン電池「SCiB」では5分間で急速充電が可能という。

また、既にこのブログで紹介したベター・プレイス社のように、ビジネスモデルの面から電気自動車の市場成長を後押しする動きもあり、そういったビジネスによる充電・給電インフラのアプローチが実現されれば、上記のような懸念も早晩払拭されるだろうと見ている。 

もちろん、そういったインフラが十分に整備されるまでの過渡的な期間は、ガソリンやディーゼルとのハイブリッド化がCO2の大幅削減に貢献するだろうし、車両価格も量産効果によって一般的な消費者でも補助金無しでも購入が出来るレベルにいずれは落ち着くだろう。

最後に、もう一点だけ:

そもそも論として、電気というタイプのエネルギーは、他のエネルギー源を元に生産されるものであることから、実際環境問題の解決に直結するのかという疑問の声さえも聞こえている。

三菱自動車のデータによれば、発電時のCO2排出量を含めても、同クラスのガソリン車の3割程度の排出量で済むということだ。 

メーカー自身のデータであるため多少割り引く必要はあるかもしれないが、それでも運転者一人だけで後は空席で走るために直接ガソリンや軽油を燃焼させるのと、集中的に効率よく発電した電気をそれぞれの自動車に給電するのとの比較でも、どちらがムダが少なくエネルギー効率が良さそうか直感的に判断できそうだ。

また、太陽電池、風力発電や地熱、波力など地球上でふんだんに使えるクリーンなエネルギーによる発電や、現在研究開発が進められているバイオ燃料やバイオマスによる発電を使えば、CO2をまったく出さずに電気エネルギーを造り出し、自動車を走らせることも可能になるはずだ。


電気自動車が急速に普及することで人類とかけがえの無い地球が得るメリットは、欧州の一企業が被るかもしれないデメリットよりもはるかに大きい。


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