オープンソースのブログ/CMS、 WordPress に見るビジネスモデル
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オープンソースのブログ/CMS、 WordPress に見るビジネスモデル

WordPressワードプレス)」というオープンソースのサーバ設置型ブログ・ツール、またはコンテンツ管理システムがある。
日本では、競合製品の「Movable Type (ムーバブル・タイプ)」の方が知名度かつ仕様実績も高いのだが、最近は日本でもアメリカを始めとした日本国外と同様に WordPress がじわじわとユーザを獲得しつつある。

このブログのシステムは、Movable Type を採用しているのだが、実は同じドメインの別サイトとして Firefox の情報を扱うサイトを密かに運営していて、そちらでは実験的な意味もあり WordPress を採用した。

で、その WordPress サイトの方はしばらく更新も滞りがちだったのだが、先の日曜日に東京都内(江戸川区葛西)でWordPress のコミュニティ・イベント「WordCamp Tokyo」が開催され、WordPressの創始者で現在のWordPress開発コミュニティの中心人物である Matt Mullenweg 氏の基調講演もあるということで、当方も参加してきた。

WordPress 自体は上述の通り、Gnu Public License (GPU)に基づくオープンソース・ソフトウェアである。
オープンソースのソフトウェアは、使っている方なら誰でも分かる通り、無料でありソースコードの改変やコンパイル、更に手を加えようが加えまいが、GPUに従う限り再配布も自由だ。

オープンソース・ソフトウェアが十分にビジネスとして成立することは可能ではあるものの、実際にそれだけで生活しているという方の話を聞くことができたのは、やはり大変貴重な機会だった。

基調講演の他に、Mullenweg氏への質疑応答の時間もかなり取られていたため、当方もアメリカなどでのモバイルブログの状況などについて質問したりもしたのだが、非常に興味深い意見を聞けた。
これについては、日本のような携帯電話でのブログはあまり盛んではないものの、iPhoneなどのようなスマートフォンではブログも使われていて今後も伸びるだろうと言う見解だった。

また、当方では無いが、WordPress をオープンソースという形態で開発する一方、それを基盤としている Automattic というMullenweg氏が立上げた会社がどのように稼いでいるのか、というある意味聞きにくいながら、大変ストレートな質問を投げた方もいた。

Mullenweg氏によれば、WordPress をビジネスとしても立派に成立させている Automattic社のビジネスモデルは以下の4つの収益モデルから成り立っていると言う。

WordPressの開発元、Automattic社のビジネスモデルとは?

  1. Upgrade (アップグレード)
  2. Ads (広告)
  3. Akismet (WordPressのプラグイン) 有償版
  4. VIP (主に法人向けのプレミアム・ホスティング・サービス)

Upgrade (アップグレード)

これは、個人でも法人でも無料で使える WordPressホスティング・サービスの有償版、プレミアム・サービスだ。

無償版サービスに、オプションとしてテキスト広告の非表示、独自ドメイン設定、ディスク容量の追加、CSS(スタイルシート)カスタマイズ、ユーザ数無制限、などを取捨選択して追加することができるというもの。

Ads (広告)

上記のアップグレードとも関連するが、無償版サービスのユーザがログインしていないときに、そのユーザのブログのコンテンツ内で Google Adsense によるテキスト型クリック広告が表示され、それによる収益がチリも積もって山となるという説明だったのが、この広告による収益という柱。

実際問題、無料ブログのサービスとして wordpress.com のユーザ数はアメリカを始めとした英語圏に無数に存在しており、Alexaのトラフィック・ランクも堂々の12位とアクセス数が膨大なことを考えると、この"山"はかなり大きいと推測できる。


Akismet (WordPressのプラグイン) 有償版

「Akismet」 というのは、WordPressのプラグイン・ソフトウェアで、機能はコメントスパム対策のスパムフィルタである。
AkismetはGPLベースのソフトウェアで個人ユーザには無料、法人ユーザは有償だそうだ。
ちなみに、現在リリースされている WordPress ブログには、すべて Akismet が標準装備されている。

また、APIが公開されているため、WordPress だけではなく 競合する Movable Type などのブログツールやそれ以外のPHP言語ベースの掲示板ツールなどでも導入が進みつつあるようだ。


VIP (主に法人向けのプレミアム・ホスティング・サービス)

最後の収益の柱が、VIPサービス、具体的には大企業など法人向けのプレミアム・ホスティング・サービスで、このVIPホスティング・サービスの顧客には、CNN、Time、FOX、New York Times (ニューヨーク・タイムズ)、ダウジョーンズ(アメリカの日経に当る「ウォールストリートジャーナル」の発行元)、など大手のメディア企業が名を連ねている他、膨大なアクセス数を誇る著名で影響力の強いブロガー達も VIP ホスティングの顧客だそうだ。

上述の有償版サービスとの大きな違いは、VIPホスティングの説明から判断する限り、膨大なアクセス数に対するサーバ側の負荷処理にあるようだ。
(恐らく、アクセス数がそれほど無いサイトやユーザであれば、一般向けの有償版アップグレードをお使い下さいということなのだろう。)


オープンソース・ソフトウェア・ビジネスにおける近年の成功事例に?

Automattic 社は非公開企業であるため、売上高や利益などの財務内容はあまり明らかになっていないようだが、2006年の段階で 1.1Mドル(1ドル100円のドル円レート換算で、1.1億円)の出資をベンチャーキャピタルから受けるなどの動きがネット上で報じられている。

オープンソース・ソフトウェアで成功した例と言えば、例えば Linux のレッドハットなどもあったが、Linux がサーバ向けOSなどどちらかと言えば法人向け需要が中心で小額でも数が多い個人や一般ユーザ向けには至っていないのと異なって、ブログは個人も法人も(というより、むしろ個人の方が多い)使用するビジネス・ツールとなっている。

その意味で、WordPress というブログ・プラットフォームで、ほぼデファクト標準的な地位をグローバルな規模で確立するに至った Automattic 社の株式公開はそう遠い将来の話では無いのかもしれない。

ちなみに、競合する(というよりも、競合していた、と言うべきか)ブログ・プラットフォーム/CMSの Movable Type は、ライセンスを有償中心に切り替えるやり方や時期をイマイチ誤ってしまったのだろう。
日本市場を除くと、英語圏はもとより世界中でサーバ設置型のブログと言えば WordPress が標準となっている現実は、今となってはオープンソース化を取り入れたところでひっくり返すのがかなり厳しいだろう。

ネット上の検索需要を見てもその情勢は明らかだ:
http://www.google.com/insights/search/#q=WordPress%2C%20Movable%20Type&cmpt=q

ガラパゴス化
とよく言われるが、そのガラパゴス化した日本では、まだ現在でも特に法人需要を中心に WordPress よりも Movable Type がやや優勢(しかし、そのトレンドもついに WordPress に傾きつつあるように感じる)であるのが、なんだか象徴的な気がする。

当サイト内関連記事:
- WordCamp Tokyo 2009 に参加(動画付)
- コンテンツ管理システム(CMS)で集客率アップ


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