「エネコスム」(enecosm)時代の到来
1990年代に名を馳せたアメリカの作家・未来学者のジョージ・ギルダー氏(George Gilder)は、パソコンのマイクロプロセッサやメモリーがムーアの法則にしたがって高性能化することで情報処理や社会にパラダイムシフトが起きることを「マイクロコスム(microcosm)」と呼んだ。
さらに、ギルダー氏は光ファイバーのネットワークによって情報通信の革新が起きることを「テレコスム(telecosm)」と呼んだ。
実際に21世紀の始めに生きる我々の生活では、xDSLやFTTHによるブロードバンドのインターネットが普及し、ギルダーの予測した通りのライフスタイルがほぼ実現したと言える。
では、今世紀これから起きる大きな変化(パラダイムシフト)は何か。
もう当前すぎとは思うのだが、ギルダー氏の未来予測の言葉になぞらえるとしたら、それは「エネコスム(enecosm)」(当方の造語)とでも言うべきものになるというのが、僭越ながら当方の考えである。
つまり、エネルギー分野におけるキーデバイスの開発、イノベーションと普及によって、グローバルな規模で化石燃料に依存していた現代文明が、太陽光、風力などの再生可能でクリーンなエネルギーをベースとした文明に大きく変わっていくということだ。
ここでいうエネルギー分野のキーデバイスというのは、主に以下の三種類の電池技術になる。
- ハイブリッド車(pHV)や電気自動車(EV)、エコハウスに使用されるリチウムイオン電池
- 太陽光発電の主役となる太陽電池
- 水素と酸素の化学反応から電気と熱を効率よく生み出す燃料電池
これに照明分野の発光ダイオード(LED)応用、熱に関わる分野でのヒートポンプ応用などが、今後ますます伸びてくるだろう。
某国の政府は、「新三種の神器」などと称してこれに似たことを既に発表しエコポイントなる制度をひねり出していたが、どうも電機メーカーや自動車メーカーなどの国内産業界にやや媚びたような内容だったように思う。
しかし、アメリカのオバマ大統領が提唱する「グリーンニューディール政策」の本質とでもいう観点からは、ここに上げたような要素技術でデファクト標準となる技術を日本の産業界が全体として確立することがより大切なのではないかと考える。(いや、全地球的な規模とインパクトという意味では、日本だけに必ずしも限るつもりはないが。)
そういう意味では、現状のエコカー減税などは部分最適な制度で、本質的にEVやpHVを中心としたエコカーへのリチウムイオン電池搭載と量産による低価格化といったプロセスを好循環でもたらすかという点では疑問がやや残る。
どういうことかというと、プリウスやインサイトなど燃費性能の良いハイブリッド車は良いとして、それ以外の高級車種やワンボックスカー、ミニバンなど大きなクルマのハイブリッド車で、それほど燃費が良いわけでもないものにも免税・減税や補助金の大盤振舞いというのは、どうも政策としてちぐはぐではないかということ。
それよりも、むしろ三菱自動車の「i MiEV」や富士重工の「スバル プラグインステラ」、さらにはオートイーヴィジャパンの「ジラソーレ」といったEVへのインセンティブをもっと手厚くしたり、充電インフラの拡充を加速させたりする方が望ましいと考える。
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