「持たざる生活」を制する者が国内市場を制す
経営の分野では、ROA(Return on Asset:資産利益率)など利益率を高めるために利益の創出にあまり貢献していない資産を処分して身軽になる経営、いわゆる「持たざる経営」という言葉が流行ったことがあった。
今でもこの言葉の有効性はあるが、この考え方が最近はどうやら企業だけでなく個人の生活にも多分に浸透してきているのではと思う。
例えば、住居。
当方もそうだが、最近は持ち家にこだわらず賃貸で暮らす世帯が増えているのではないかと思う。
最近ネットのニュースで読んだところでは、賃貸のバリエーションとなる住み方としてルームシェアやハウスシェアといったスタイルを選択する若い世代も増えているという。
いわゆる「バブル世代」の当方などが大学から社会人デビューした頃などは、プライバシー重視のためワンルーム・マンションの類を好んで一人暮らしをする人が多かった。
それが、最近はプライバシーは個室で確保しつつも同居人とのコミュニケーションや利便性も享受できるとかで、ハウスシェアが人気になっているらしいのだ。時代の移り変わりをこういうライフスタイルの変化にも感じさせられる。
実際、不動産市場は弱含みで、都心などで利便性やロケーションのよほど良い所でないと買値より高くは売れずに損切りというリスクを負うことになる。人口が減少する一方で、不動産の供給は依然としてあるのだから、需要と供給の法則から言えば、やはりリスクは下方向ということになるだろう。(アメリカのように、政府が移民を大量に受け入れるなんてこともまず無さそうだし。)
もちろん、住宅は損得勘定だけでは割り切れず、感情的な側面も多分にあるのが難しいが・・・それでも、老後の心配さえできていれば、やはり持ち家にこだわる理由はあまり無くなって来たと痛感する。
そして、自動車も。
とにかく最近は○○○シェアが流行りだ。と言うわけで、クルマもカーシェアリング市場の成長が話題となっている。
レンタカーに似ているものの会員制やチョイ乗り中心の利用など異なるビジネスモデルのこの分野はまだ新しいこともあり、レンタカー業界はもちろん自動車メーカーや鉄道会社、ベンチャー企業などとにかく動きがめまぐるしい。
以前記したブログ記事で自動車メーカーはビジネスモデルから取り組まなければダメだと書いたが、カーシェアリングはやはり今後避けて通れないのではないかと思う。
これは車両のハイブリッド化や電動化がいくら進んでも、日本経済の基本的な構造に大きな変化が無い限りは同じだ。(道州制や地方分権などがまともに行われ、東京一極集中の構造が是正され、過疎・過密がなくなれば、国内の自動車市場が再び活性化し成長する可能性はある。)
地方のクルマが日常生活の足となっている地域以外の交通インフラの比較的発達した都市圏では、クルマ離れが今後も続くのは既定路線だ。
特にサラリーマンなど勤労者世帯の場合、維持費が嵩む割りに稼働率が低いし、今後も日本の国内の所得格差が拡大して消費市場の二極分化が続くからだ。
その意味では、クルマが再びステータス・シンボルになる日も近いのかもしれない。
しかし、ヘタをすると今後は地方ですらもクルマ離れがもっともっと進むかもしれない。
そんな訳で、今後は家や自動車の所有に固執しない消費者が増えるので、そういった財を(動産・不動産に関わらず)所有しない人達の市場でうまく事業やマーケティングを行えると成功しそう、ということだ。
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