ブランドの資産的価値(brand equity) (1)
ブランドについて、最近の「ワールドビジネスサテライト(WBS、テレビ東京系)」が取り上げていた。
ブランドと言うと、俗にはシャネルとかルイビトンなどを思い出すが、ここで言うブランドとはそれらも含んでもっと広い意味のブランドである。マーケティング的にはブランドの持つ資産的価値(brand equity)という概念がそれにあたる。
で、そのワールドビジネスサテライトの番組は、最近の国内企業の動きとしてM&A経営統合の結果ブランドを統一する動きがある反面、企業グループによっては合併後も元の企業の社名やブランドを存続させる動きもあるという内容だった。
で、自分の専門領域である半導体や最近では自動車ではこの辺はそれなりに業界知識として持っているものの、専門外では身近な企業が実は別の会社の傘下に入っていることなどを知り、ちょっととした驚きを感じたのである。
例えば、「カルピス」。これは日本人なら恐らくほとんどの人が知っているだろうし、子供の頃など一度位はあの白くて甘酸っぱい味のカルピスを飲んだことがあると思う。
このカルピスは1990年頃に味の素と業務提携を開始していたのだが、2007年10月に完全に味の素の子会社となっている。
ところが、今でも「カルピス」や「カルピスソーダ」などの商品が売られているので、当方は件のWBSで見るまでカルピスが実は味の素の製品ブランドだとは知らなかったのだ。
これは、ブランド資産価値の点から言うと、味の素がカルピスの持つブランド価値を理解していたため、完全子会社化したあともそれを十二分に活かすマーケティング戦略を取っているからだろう。
誰だって金の卵(収益、売上げ)を生む鶏(ブランド)を殺しはしないからだ。
一方、吸収合併に伴ってブランドを統一する動きの代表例がENEOS(エネオス)ブランドを持つ新日本石油とJOMOブランドのジャパンエナジーまたは新日鉱ホールディングスだ。こちらの方は、今年(2010)の4月に共同持ち株会社「JXホールディングス」を設立後、ENEOSとJOMOの二つのブランドをENEOSブランドに統一する。
これについては、JOMOブランドを存続させるよりもENEOSブランドに統一する方が、長い目で見たときのグループ全体としてのブランド資産的価値がより高まると判断したためだろう。
実際、移り気な消費者にとって清涼飲料水は業者が比較的多く選り取りみどりで「コカコーラ」や「カルピス」といった知名度のあるブランドはそれだけでマーケティング戦略上大きな差異化要因になる。
味の素からすれば、自社の清涼飲料水に大きなシェアを持つ製品ラインが無かったため、「カルピス」は存続させる以外の選択肢は無かったはずだ。
ところが、供給者の数が限られており参入障壁が高いガソリン元売りやガソリンスタンド業界では、二つの異なったブランドを存続し互いに競合させて顧客を混乱させるよりも、いずれか知名度が高くより強いブランドに一本化する方が理に適うと言えそうだ。
経営統合の当初、JOMOのガソリンスタンドでは、看板やサインの付け替えなどでそれなりの費用が発生するだろうが、いずれ元は取れるし長期的にはこの方が得策ということなのだろう。
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